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Melia

どこかの国の元貴族。
蜂蜜のような瞳は内に炎を宿す。炎は彼女の魔力をかたどったもの。
過去に犯した禁忌の代償で不老の身になっており、左耳のイヤーカフでMeilと繋がっている。


Meilとは異母姉弟であり、Meliaは父が前妻と成した娘である。

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彼女は読書が何よりも好きだった。
ある日書庫で手に取った本が魔術の本だった。
好奇心が旺盛な彼女はそれに興味を持ってしまった。それだけだった。
魔術を使うことは違法ではなかったが、彼女の親は厳しかった。まだ幼いお前には扱えないと言い、勝手に危険な本を持ち出した罰だと言って彼女を幽閉した。

弟が産まれた時一度顔を見てからずっと彼と会うことを禁じられていたが、ある日突然彼は会いに来た。自分の弟である少年はオパールのように輝く金の瞳を持ち、とても優美であった。
彼は自分に興味があるようで、いつも優しい声と表情で話を聞いてくれた。家の後継である彼はその教育も受けており、自分と会っている暇なんて無いだろうに。それでもたまに時間を作ってくれるのが嬉しくて、彼がその日来て良かったと思えるように精一杯のおもてなしをするのだ。
彼との時間は楽しかったし、愛していた。

__暫くして、いつも通り2人で過ごしていた日のこと。
彼が会いに来ていたことがバレた。きっと厳罰に処されるだろう。
どうすれば良いのか考えた。

その翌日、朝から部屋の床一面に魔法陣を描いた。屋敷も親も使用人も、全て破壊する為のもの。彼だけを連れて逃げる為のもの。
 

誤算だったのは、それまで連日訪れたことの無かった彼が部屋に来たこと。
驚いたせいで魔法陣が誤作動を起こし、1番近くに居た彼が全身から血を流し倒れたこと。
彼を殺してしまったこと。

___大丈夫、大丈夫。きっとまだ助けられる。自分には知識がある。

禁忌に足を踏み入れてでも、救ってみせる。

多くの命を犠牲にして、1人を蘇らせる魔術を自分は知っている。

彼が連れて来て、一緒に可愛がった白猫が居た。その子も巻き込んでしまったけれど、それが悲しくて仕方ないけれど。なんとか魔術は成功して、彼を蘇らせることに成功した。
それだけでいい。彼さえ居れば他に誰も居なくても構わないのだから。

生まれて初めて、なんだか無性に腹が立って、壊れた屋敷に火を放った。
目覚めた彼は少し驚いた様子だったが、悲しむことも、恨み言を言うことも無かった。

愛しい彼の手を引く。
もう邪魔をしてくる人達は居ない。自分たちの人生はここから始まるのだ。
名前も1から考えよう。
今日も明日も、これからずっと彼がそばに居る。
こんなに素晴らしいことは無い。

2人はその日、自由を手に入れた。

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